「知的財産と宇宙」アメリカ編

日本では宇宙での発明の実施には特許権が及ばないらしい。では、アメリカでは・・・?

アメリカの特許法では105条に宇宙空間における発明の規定が存在する!

第 105 条 宇宙空間における発明
(a) 合衆国の管轄又は管理の下に,宇宙空間において,宇宙物体又はその構成要素に関して行われ,使用され又は販売されたすべての発明は,本法の適用上,合衆国内において行われ,使用され又は販売されたものとみなされる。ただし,宇宙物体若しくはその構成要素であって,合衆国が当事国となっている国際協定によって特定されているもの及びそれ以外の形で規定されているもの,又は宇宙物体若しくはその構成要素であって,宇宙空間打上物体の登録に関する条約に従って外国で登録されているものについては,この限りでない。
(b) 宇宙空間において,宇宙空間打上物体の登録に関する条約に従って外国で登録されている宇宙物体又はその構成要素に関して行われ,使用され又は販売されたすべての発明は,本法の適用上,合衆国において行われ,使用され又は販売されたものとみなされるが,合衆国と登録国との間の国際協定において特にそのような合意がされていることを条件とする。 

 (a)「合衆国の管轄又は管理の下に」アメリカが打上げに関与していたらアメリカにおける実施になるということ?アメリカの会社ではなくても?アメリカから打ち上げたのではなくても?アメリカの宇宙ステーション内ではすべてアメリカの特許を踏んでしまうことになるということ?

(b)「宇宙空間打上物体の登録に関する条約に従って外国で登録されている宇宙物体又はその構成要素に関して行われ,使用され又は販売されたすべての発明」

宇宙空間打上物体の登録に関する条約”が絡むと、すべてアメリカにおける実施とみなされるということ?最強すぎません?合意という条件があるにしても。ちなみに、この条約では「物体の打ち上げ国に対し登録簿への記載が義務」となっているようでして、打上げ用と思ったら登録がマスト、登録したら(合意しない場合を除き)USでの実施とみなされるということかしら。

なんだかもやもやした気持ちを引きずりながら、いろいろなことが疑問のまま残ってしまったのでした。

 

<この論文をベースに勉強しました>

「我が国の宇宙産業において重要性を増す知財戦略」(秋山誠、パテント2019 vol.72 No.3)https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3198