「知的財産と宇宙」宇宙での特許の実施の扱いってどうなるのー!?

宇宙ビジネスについて考えていた。宇宙に国境はないはずだけど、特許法的には宇宙ってどこの国?ということが気になって調べてみた。領土の上の方の宇宙はその国の領土・・・なわけはない。打ち上げた国が実施したことになる??どうなの?特許法で決まってるの??

結論から言うと、日本の特許法では明確な規定はない。WIPOやパリ条約ではどうか。

・世界知的所有権機構(WIPO)の見解:国内法は原則として,その国の領土(領空を含む)にのみ適用され,宇宙空間には適用されない(2004年4月「Intellectual Property and Space Activities Issue paper prepared by the International Bureau of WIPO」より)

・パリ条約においては,宇宙空間における知的財産権の取扱いについては規定はない。

・パリ条約原則「同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとする。」
→つまり、日本国特許庁で付与された特許権の効力は,日本国限り。日本国外(=宇宙)での行為について、日本の特許権の侵害と認定することはできないと考えられる。

 

アメリカで宇宙軍の発足が正式に発表されたり、日本でも自衛隊に宇宙作戦隊(仮称)が新設されたり、 宇宙ビジネスがますます注目されそうな中、宇宙に関する法整備もどんどん進んでいくのでしょうか。

アメリカの特許法における「知的財産と宇宙」はこちら

 

<この論文をベースに勉強しました>

「我が国の宇宙産業において重要性を増す知財戦略」(秋山誠、パテント2019 vol.72 No.3)https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3198